孤島という異界に遊ぶ神無月

 

飛族

飛族

 

 

今晩は村田喜代子先生の谷崎潤一郎賞受賞のパーティーがある。

着物を着ようかと思ったが億劫だ。

タンスを覗いたら20年以上前に買ったコムデギャルソンのワンピースがあった。

黒い畝のあるベルベットのような生地。お腹がちょっとキツイがなんとかなるであろう。

ネックレス、イヤリング付けてみるが似合わない。年毎に似合うものが変わるのは不思議だ。加齢に従って人間も不純物が増えて、つまりカンバスの下塗り部分が複雑になりお洒落に技がいるようになると思う。それで極力乗せるものを排除する方向で、それはそれで納得するようになった。アクセサリーとかスカーフとかいっぱいあるのにどうしよう。今は時代が質素に向かっていると思う。バシッと決めると、まあまあ力抜いて、と言われるような雰囲気がある。

 それで村田先生の受賞作は「飛族」という九州の島に住む二人の老いた海女とその娘の話。今の時代に弧島で暮らすリアリティと、半分海鳥に変身しているような老女のしぶとさが印象的だった。「老人と海」の女性版、とチラッと思った。