文旦の絮のふとんで寝てみたし  

 

友人が文旦を送ってくれた。

皮を剝くとパーッと良い匂いが広がる。剥いた皮が実より多いのでもったいないと思う。箱に入っていたチラシにマーマレイドの作り方が載っている。「皮を細かく刻み軟らかくなるまで煮て、皮の重さの1.5倍の砂糖を加え気長に煮る。」この簡潔なレシピに痺れた。煮てみようじゃないか生涯初のマーマレイド。それでテキトーに5時間ばかり煮たら、出来た。ほろ苦い甘さが大人っぽくパンとブルーチーズで食べると天国の味だ。

柑橘類は、味よし香りよし姿よし、絵のモチーフにもなる誠にありがたいものだ。

柑橘類の実る庭は都市生活者の憧れではないか。レモンツリーなんて口ずさむだけで幸福感が沸き上がる。愛嬌のある丸い形を嫌う人はいない。果実がみんな四角だったらどんなものだろう。人間も丸い人が良くて、あの三角野郎、とか四角四面な人とかは厭わしいのだ。

でも今は丸いコロナのおかげでみんな大困りだ。もう一年以上困っているのだ。

解決策も見つけられなくて、とにかくマスク命である。マスクくらいで防げるのならこんなに困らないはずで、だから解決できない。なんとなく不満になる。ここはなかなか来ないワクチンを待っている間に、国民全員で庭や空き地やベランダに柑橘類の種を蒔くのはどうだろう。経済はすぐには回らないだろうが、10年くらいたって日本中にいろんな実が生るのだ。あー、これがコロナの時のあれね。みんなでいっしょに実らせたのよね。日本人がコロナに勝った証のコロカンね、と喜び合いたい。