思い出がポツポツ光る弥生かな


三月は雛祭りで明ける。といっても子供がいないのでほとんど関係ない。あられも白酒も懐かしいが今は桃の花を買ってくるくらいだ。
子供の頃は60センチ立方体みたいな雛飾りを飾った。その雛の顔をまだ覚えている。ちまちました小道具、キラキラ光る冠やかんざしが好きだった。
雛たちは箱の下部15センチくらいのところに仕舞えるようになっていて、普段は別の人形が飾られていた。
思えば人形にも様々な流行があった。こけし博多人形、鮭を咥えた木彫りの熊、金髪碧眼の西洋人形。もっといろいろあったと思うが覚えていない。
おもちゃで一番愛着があったのは、グリコのおまけで15センチくらいのクッキーの丸い缶にいっぱい溜め込んでいた。
昔だからプラスチックのものは無くて、陶器やガラスで出来たコップやお皿が大好きだった。今も食器好きなのはグリコのせいかもしれない。
もう一つ、「カバヤ文庫」というのがあってカバヤキャラメルの箱に当たりがあれば本を一冊もらえた。その本に夢中になったので
父がダンボール箱一箱キャラメルを買ってくれた。あ〜あ、子孫がいないと昔のことしかわからない。
それでそれらのものは何も残っていない。どれか一つ返してくれると言われたら、グリコのおまけなんだけど、きっと今見たらちゃちなものに違いない。
カバヤ文庫も何年か前に、友人が一冊くれたのだが、名作を抄訳したスカスカのお話だった。
思い出の中では何でも美化される。そっとしておくのが最善なのだろう。