蓬餅新聞小説読みながら

私  草餅の草が生えてる世田谷線

先生  もうちょっときれいな句が出来ないわけ?

私  草餅の草は練馬か世田谷か

先生  川柳。


 それでタイトルの句でオッケーが出ました。これが最初に出来た句だったのに、つまらないような気がしてどんどん変になった。変な気はしていたのだが見失った。そのへんの呼吸がまだよくわからない。


画廊にいるといろんな絵描きさんが見えて、色々お話しする。
絵描きはいつもフレッシュでなくてはいけない。そうじゃないと必ず行き詰まる。たまにはモデルを使って徹底的に描くことも大事。イメージだけで描いていると流されてしまう。フムフム。ピカソはいつもすごい努力をして絵を変えて行った。フムフム。自己改革くらい大変なことは無い。ソウソウ。芸術という回答が無いものに取り組むのは本当に大変なことだしほんの少しの人しか生き残れない。でも人間というものがそういうものだとも言える。目覚めながら生きるのはしんどい。ぼーっとしていれば楽だもん。でもぼーっとしていれば行き詰まるのも確かだ。

 ところで今個展中の田中章恵さんは絵の具5本しか使わないそうだ。カドミウムレッド、ビリジャン、ウルトラマリン、イエロー、ヴィオレだっけな。でものびのびと色を駆使していて彼女にしか出来ない世界を作っている。混色って面白いなと話を聞いていて思った。月刊誌3月号はたまたま混色図鑑がついている。じっと見ていると絵が描きたくなって来た。俳句に行き詰まっているからなんだけど。絵と俳句には沢山共通点があるのよ。