春の闇百年前の恨みかな   怖かった話


人形町近くに住む友のところに押しかけて飲みに行く。今回、事務所を移すとき、真剣に人形町を考えた。子供のとき浜町に住んでいたので、また下町もいいなと思った。ほぼ決めかけた物件があって、ま、念のためと方角をみてもらった。その物件に入ると「あっちに着物を来た女の人が沢山見えます。」と言われた。「女性は体調をくずすかもしれない。」「男性は外に出て行かなくなる。」とのことであった。昔そこに遊郭があったことが尾を引いているようで、聞いてしまった以上、断念した。そんなことを思い出しながら、遊郭の風情の残る小路のお店に入る。大きな美人画が何点かかかっていて、背筋が冷たくなった。断念した事務所で見えていたという女性のようで怖い。そして座ろうとしたとたん、「ワー、なんでここにいるの!」という声。句友のUちゃんが隣の席に。この広い東京でビックリ。そのUちゃんと知り合ったのは、麻布十番つながりだったのだなー。今年になって私も彼女もそれぞれ麻布から転出したのだ。娘のような年なのだが、なんだか縁があるようだ。情緒のあるお店で、お料理は美味しく安くて良かったのだが、食事をしている間中、美人画を見るとゾクリとする。私は霊感が強い方ではないが、その絵が「あんた逃げたわね。」と責めてるみたいで、途中で絵が後ろになるように席を替えたのだか、飲んでも暖かくならない。早々と引き上げて何も引きずっていなさそうなスナックに場所を移した。地霊っていると思います。