桶田洋明展

Dsc00643_1昨日は桶田さんのオープニングでした。人物画も難しいのですよ。売るのもむつかしい。好き嫌いがはっきりするせいだと思われます。
 それはさておき、桶田さんの女性像は森の精のような、夢かうつつか、というこの世の人じゃない様な印象が強かったのですが、新作は現実世界に降り立って戸惑っている少女たちという感じを受けました。人魚姫が声を失って陸地に立ったような。それに以前はヨーロッパ絵画の影響が強いと思ったのですが、実際、昨夜もモチ−フはボッティチェリみたいなんて言っちゃったりもしたのですが、後で思い返しての印象は、むしろ「鳥毛立樹下美人」につながるように思ったのです。平面的な描き方が画家を自然に日本的表現に向かわせているのかもしれません。きっとまだまだ変わって行くことが予感されてとても楽しみです。
 桶田さんのことは「一枚の繪」5月号「画家の日記から」にご本人の言葉で綴られています。彼は筑波大学の大学院を出て、すぐに右肘の悪性腫瘍が見つかって右腕が使えなくなったのです。だけど桶田さんはあきらめなかったし、美の女神も彼を見放さなかった。今は左手でこんなに緻密な絵を描いているのです。画像は私が気に入った作品です。ぜひ見てくださいね。5月16日までです。本人に会いたければ5日までにお出で下さい。現在は鹿児島大学で教鞭をとっていらっしゃいます。