第五回 句会 2008.6.12

1.
蛇苺嗅げば咎知る少女かな いて丁(わさび・まんさく・鶉)
夏至の日は白夜の国の人思ひ 鶉(あまり)
満月を剥けばこぼるる夏みかん わさび(あまり・飛行船・鶉)
睡蓮の夢見る如き寝顔かな 飛行船(あまり・わさび・柚・まんさく)
梅雨晴に居場所伺う猫2匹 まんさく(あまり)
麦秋の風ふところに人と逢ふ あまり(いて丁・まんさく・柚)
若葉雨菩薩の前で立ち竦む 柚(あまり・いて丁)

2.
紫陽花に外国の猫尾が長し 鶉(あまり・飛行船)
紫陽花を揺らすは猫か亡き人か あまり(飛行船)
悲しみはいまそこにあるアマリリス 飛行船(あまり・いて丁・わさび)
雲間よりあじさいに陽や単衣袖 まんさく(あまり)
夏水車コトコトコットントカトントン わさび(柚・あまり)
小満や田んぼ水張り苗を待つ 柚(あまり)
老ひたると 思ふわが身や百日紅 いて丁(あまり)

3.
麻の足袋ひやりと背筋のばしたり 鶉(あまり・まんさく)
逆光の日傘の中のエゴイスト わさび(あまり・飛行船・いて丁・鶉)
詩神(ミューズ)見ゆ木の間がくれの紫陽花に 飛行船(あまり・わさび)
酔ひ覚ますメロンの舟に匙入れて あまり(わさび・いて丁)

4.
屋上にペンギン潜むや南風 わさび(いて丁)
花陰に軒借りておるかたつむり 飛行船(柚・あまり)
少年のごと志あり立葵 いて丁(あまり)
走り雨タップダンスの音に似て 鶉(まんさく・あまり)
兼六の曲水うめる花菖蒲 まんさく(あまり)
君の手に手を添え遠き花火かな あまり(いて丁・わさび・柚・鶉)

5.
あじさゐの毬をふやしてひとりかな あまり(飛行船・わさび)
端居してももひざすねと暮れていく わさび(あまり・鶉・まんさく・飛行船・いて丁)
好色の男歩いて白絣 鶉(あまり・柚・まんさく・わさび・いて丁)
桜桃を噛めばひろがる酸かし過去 いて丁(まんさく)

6.
どくだみの白さや闇をはかりたる いて丁(飛行船、わさび、鶉、柚)
逆転打 見知らぬ人と肩たたき 鶉(あまり)
稲妻に光る鯨は海に満つ わさび(いて丁、鶉)
鉄塔に少年の夏輝けり 飛行船(あまり、まんさく、鶉)
薔薇くれし君の微笑 指の傷 まんさく(わさび)

7.
世を知らぬ雀の子らが道ふさぎ 鶉(あまり・わさび)
紫陽花のパパは雨雲ママは虹 わさび(あまり・柚・まんさく)
みづすまし水を澄ましてすべり行く 柚(あまり)
蜜蜂の花粉にむせて夏は来ぬ 飛行船(あまり)
猫の寺涼しき声のきたりけり あまり(いて丁)