春の夜 暗き小部屋で 雨を聴く

木挽町竹葉亭本店にお呼ばれしました。
築83年という、木造家屋で、しみじみ子供の頃を思い出しました。こんなに立派な家ではありませんが、木造の家って、外の気配がよく判る構造です。昨夜の雨もゴウゴウと庇を叩き、「台風が来ると停電しましたね」なんて話で盛り上がりました。手入れは本当に大変でしょうが、手入れしながら住んでいく喜びは確実にあるのです。でも銀座のすぐ側で戦災に遭わなかったというのも奇跡だと思いました。米軍は確実にピンポイントで爆撃した、という話が思い出されました。女将さんの、白地に若緑と黄土色が規則的に散った紬の着物もさりげなく素敵で「母の着物を直しました」と、微笑まれる色白のお肌を見て、鰻は良いんだな、と思いました。
小津安二郎的世界にタイムスリップの時間でした。