子役には勝てない柿葺落しでも

新歌舞伎座に行きました。
一部の出し物は、最初の二つが踊り。「お祭り」は三津五郎が驚くほど勘三郎にそっくりで、一瞬「生きてたの!」って思ったくらいだった。花道から駆け込んでくる勘九郎と長男の七緒八、七之助、パッと花が咲いたようだった。まだ言葉も話せないという2歳の子役がその可愛さで場を攫っていました。最後は熊谷陣屋。さすが吉右衛門の直実が上手くて、僧形となって花道を引っ込む時はもらい泣きしてしまった。しかし「首実見」がある芝居ってどうなのよ。今回は3部も「盛綱陣屋」で同じ趣向なのだ。沢山役者が出て、それぞれソロパートがあって、その間他の役者は座っているだけで省エネだからかしら。子殺しっておめでたくない演目だと思うのだけどどうなんだろう。それにしても3部構成で一年やるって、座っているだけでも大変だと思う。死んじゃうよね〜、って言ったら一緒に見た友が、だから死んじゃったじゃない、って言う。ギュッ。

さて、歌舞伎に行くと着物姿が沢山見られるのも楽しみです。今回も一つ紋から訪問着紬といろいろでした。洋服は?なカジュアルが多すぎると個人的には思いました。二階三階は良しとしても、二万円の席でジーパンリュックは淋しい。歌舞伎座の洋装のスタンダードはなんだろうと考えた結果「皇室」って思ったんだけど、ま、昔はそうであったように思います。スーツまたはアンサンブル、スカーフ、アクセサリーというところかな。それで新歌舞伎座は、驚きの前のまんま、でした。大きく変わったのはエスカレーター設置、洗面所増設くらいでしょう。席も広くなりました。これは素晴らしい。松竹の見識でしょう。こんな例は日本には少ない。一つの道を示したと思いました。


私は大島に博多帯です。キモノの格でいうとジーパンかも。