第七回 句会 2008.8.21

1.
臼杵を洗って花火見る兎 わさび(あまり・柚)
金色のしっぽ残して青蜥蜴 鶉(あまり・いて丁)
豆ゆでて切り子グラスに冷やし酒 柚(あまり・万作・わさび)
フルーツ店の空き箱高く秋立てり いて丁(あまり・万作)
日の濃さを口に含めばマスカット 飛行船(あまり)

2.
心太陸に上がった海の色 わさび(鶉)
父譲り袖通さぬも土用干し 万作(柚)
秋袷過ぐる何かは引き出しに 鶉(いて丁)
渓谷の漆黒の闇に蜩や 柚(あまり)
石榴裂け奪われてゆく記憶かな いて丁(鶉・柚・わさび・飛行船)

3.
カルピスや夏には夏の愁ひあり 飛行船(鶉・あまり)
一人夜の盆の送り火煙にむせ 柚(あまり)
人もまた景のひとつや草茂る あまり(柚・いて丁)
下町のさびしき匂ひ花火屑 いて丁(飛行船・柚・あまり)
風凪いでプールは青く四角あり わさび(あまり)
端つまみ痩せる火花を見つめ合い 万作(あまり)

4.
遠泳の氷砂糖に塩の味 柚(万作・鶉)
その人の来ぬまま暮れて蓮の花 あまり(飛行船・万作・柚・わさび)
人知れず泥水吐くや蓮の花 わさび(あまり)
ビルの山一尺玉の気配して 鶉(あまり)
輪を外れ君を目で追う盆踊り 万作(あまり)
天の花浮かべ流るる夜の河 飛行船(あまり)

5
蓮の花生まれかわりて三回忌 鶉(あまり)
花火消え濃くなりまさる闇の色 飛行船(あまり)
残照の町に蚊取りのにおいあり 柚(あまり・いて丁)
白桃に早熟の日の目眩かな いて丁(あまり・鶉・わさび・飛行船)
闇に咲き何を誘うや烏瓜 万作(あまり・鶉)

6
団欒は我がことならず遠花火 いて丁(あまり・飛行船)
勝手口サンダルあふれ盆休み わさび(あまり・柚)
濁より出清明に咲く蓮の花 万作(わさび)
幾千の星ちりばめて花火咲く 柚(わさび)
足組める男と夏を惜しみけり あまり(飛行船・いて丁)
麦藁のへさきに浮かぶ江ノ島や 鶉(あまり・万作)

7.
夏祭り狐の面の笑みもらす 飛行船(あまり・万作・柚)
ついてない事ばかりの日茄子の棘 柚(あまり・いて丁・鶉)
夕立やマルガリータの白き塩 鶉(あまり・いて丁・飛行船・万作)
白靴で抽象画見る六本木 わさび(あまり)