薄物の女残して虹渡る

大橋巨泉の訃報に、すぐにはなんとも思わなかったのだが、じわじわ来ている。
イレブンPMは毎晩のように見ていたので懐かしい。巨泉、前武が東京局、楠本憲吉藤本義一が大阪局のホストで、大人の遊び人という風情が良かった。
巨泉は俳号で、憲吉も俳人だ。テレビ見ていた当時はわからなかったが今となってはシンパシーを感じる。



 みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれすぐかきすらのはっぱふみふみ


この通りだったかどうか自信がないが、はっぱふみふみ、はみんな覚えていると思う。巨泉は寺山修司にかなわないと思って俳句をやめたそうだが、この短歌を踏まえたパイロット万年筆のコピーは、今読んでも面白い。


 浴衣着ていくさの記憶薄るるか   巨泉


東京新聞の「筆洗」に出ていた。だから「安倍晋三に一泡吹かせてください」なんていう遺言を書いたのだろう。


もう一つ、楠本憲吉なだ万の息子だそうで、いつも着流しで安藤たか子といういかにも京女の中年増と出演していた。


 汝が胸の谷間の汗やパリ祭   憲吉


この句を歳時記で読んだ時、テレビに出ていた彼を思い出し、いかにも、と思ったのだった。



汗はかかないのにょ。