おぼろげに父の顔見ゆ冬帽子


 
 昔は帽子をかぶっている人が多かった。男の人が上手に帽子をかぶっているのは素敵だが、今は見ることが少ない。父はハンチング派でたくさん持っていた。今手元に残っているのはこれだけだ。何度も処分しようと思ったのだが、転んでおデコにコブを作った時、これだこれだ、この時のためにあったのだ、と深くかぶって嬉しかった。暖かいので驚いた。それで北海道に行くので、チョッキを編んだ勢いをかって、毛糸の帽子も初めて編んだ。でも私の場合、帽子かぶると、いきなり老けて見えるのだ。顔がドラマチックじゃないと着こなすのが難しいと思う。似合わなくても平然とかぶっているうちに身につくのかな。