想像力なき日本にも秋の幸



話題の本。読み込んではいないのですが村上隆の方法論として面白かった。印象としては意外と高度成長期の創業者の経営論に近いかも。



 アートは大衆芸術と純粋芸術にわけられる。現代美術は純粋芸術であり、そのクライアントは一握りの上位階層である。その多くは欧米にいて(このビジネスモデルの発祥はそこだから。)そのターゲットのために製作をする。そのフレームワークを徹底させるために村上さんはカイカイキキというアトリエを運営している。そのアトリエにいるアーティスト志望者には、社会の最下層に位置するのがアーティストであるということを、徹底的に叩き込む。仕事は過酷で何日も寝ない、というくらいのことは当たり前である。何故なら純粋アートを目指しターゲットに食い込み、生活の自由度を高めて、ただ一点の世界に残る作品を作り出すためである。つまり後に残る絵を作り出すには、自分と世界との関わりを自分だけのやりかたで表さなくてはならない。そのためには自分を追い詰め、自分の全てを曝け出して腑分けするほどの強靭さを得ることが不可欠である。というふうに読めました。戦後の日本はそんなふうに意識しなくても、ほとんどの人が何もないどん底から這い上がって来た、もしかして幸せな時代だったのかなと思いました。 最後にニコニコ動画の経営者と対談しておられますが、お二人とも今の日本が世界の未来だと語っているのに、なんとなく納得でした。日本には陶芸家のようにロハスで自給自足に近く制作している作家もいて、そんな生き方も輸出モデルになりうるとも言われてます。自由な見識をお持ちだと思いました。 

これだけ考えて制作している作家がいるのに、政治家なんてヒドイもんよ、ということの再認識になっちゃったわ。