秋風やブルーシートの人何処


上野の山がリニューアルした。木造平屋のカフェが2軒出来て、花も沢山植えられ稲架を大きくしたようなオブジェと、映像のインスタレーションが中央に置かれている。パーティーのあった都美術館のレストランも垢抜けて昔の面影は無い。なんでこんなに雰囲気が変わったのか?路上生活者のブルーシートが無くなったからだと気付く。100人くらいもここで生活していたんじゃないかしら。奇妙にきちんと洗濯物が干してあったりした。秋には拾った銀杏を500円で買ったこともある。来場者と共存していたともいえる。あの人達はどうなったのだろう。居なくなったからってこの世から消えた訳ではない。どこかもっと良いねぐらが見つかっただろうか。日も暮れた上野公園を下って上野広小路まで歩きながら妙に寂しい気分になる。広小路は客引きがいっぱいで「2時間飲み放題千円でどうですかっ!」と威勢がいい。この猥雑さが心地よい。上野も六本木も美術館の中に入れば無国籍な洗練空間だ。作品に頑張って欲しい、と心底願う。