花魁草その桃色の行き止まり


お料理するのも好不調がある。不調になると何作っても美味しくない。そーいう時はシンプルなものを食べるに限る。ということで昨夜は焼いた塩鮭に大根おろし、という基本に戻って美味しかった。

 鮭と言えば先日芸大美術館の高橋由一展を見た。あまりにも有名な鮭の絵って、こんなに、と驚く大きさだった。縦が160センチくらいあるのだ。3点同じモチーフの絵が並んでかかっていた。描かれた当初から人気があって何点もあるようだ。今このモチーフを最初に描いたら売れるのだろうか、と考える。当時保存のきく塩鮭は美味しくて貴重で重宝なものだったろう。あの鮭を本物そっくりに描いた絵があるのよ。そうかそうか、ひとつ欲しいものだ、ってなったのだろうか。静物画というのは仏蘭西語の「ナチュール モール」から来ていて直訳すれば「死んでる自然」だ。確かに死んだウサギとか雉等をリアルに描いた具象作品を見てなるほどと思う。それをそっくり日本に持ってくれば魚になるのであろう。でも今見るととくに面白くない。あの時代の鮭も今も同じだもん。それより「花魁」の絵は素晴らしかった。モデルは出来た絵を見て私じゃないと泣いたそうだが、気の強そうな顔に、20本程の櫛簪を挿して痛々しい。似ていない、と言ったのは油絵で描かれたリアルさに耐えられなかったのだろう。浮世絵や日本画で表現される人物像とは明白に違いがある。あの「引目鉤鼻」と一言で表現されてしまう造形の実物はこうなのだと納得いった。別の日にゴヤの「青い服の子供」を見に行ったのだが、花魁はゴヤに匹敵する作品だと思った。もっと沢山描いて欲しかった、人物画。

DNPが予約制で見せているこのゴヤの絵、お勧めです。リッチな空間で一点の絵を心行くまで見られます。無料だし。

http://www.louvre.fr/jp/『ルーヴル-dnpミュージアムラボ』第9回展-「ゴヤの≪青い服の子供≫br-ルーヴル美術館のスペイン絵画コレクションに入るまで」

作品は一点だけだけど、映像を駆使してゴヤを知ることが出来ます。巨人です。ホント。

関係ないけど最初にルーブルのスペイン絵画担当学芸員が、等身大より大きく映像で出てきて「ようこそ」とか言うわけなんだけど
そのファッションに驚いちゃった。というかこれが今なんだと思った。股上が10センチくらいのズボン、丈がウエストラインぎりぎりのジャケットに、高い位置のボタン。バレーに出て来る王子様のようなシルエットなのだ。若者がきちきちのスーツを着ているのは気がついていたけど、ここまでとは、、、不景気で布を倹約しているのかしら、と思う程でありました。

 ジャケットやその短さの寸足らず