猫の恋えさも食べずにさまよいぬ

 
あのオオぐらいのシマ子がヲンヲン鳴いている。聞いてて堪えられない程ではないので助かる。昔飼っていたペルシャ猫はインランオンナで、住んでいた2階の窓から下を通りかかった雄猫めがけて飛び降りて、その雄猫が総毛を立てて逃げ回っていた。白いペルシャが飛んで行くのはむささびのようであった。その時期でない時も、窓に張り付いて一日中外を見ていた。ある日少し窓が開いていたところから出て行って帰ってこなかった。そのトロという猫は、初代ビーというサバ猫が一年で車にはねられて死んだ時、ほっておかれて可哀想な猫がいるというのでもらったのだった。耳が聞こえないが多岐川裕美に似た大変美しい猫だった。もらった時はガリガリに痩せていて発育不全だったのが、ふっくらした途端に発情した。私は出張していて留守だったので、ダンナは胃痙攣だと思って医者に連れて行ったものだった。