春愁や偏愛ムラタ美術館

偏愛ムラタ美術館

偏愛ムラタ美術館

月刊一枚の繪の村田喜代子さんの連載が纏まって一冊の本になっています。
今年の6月号から連載を再開していただくことが決まって読み直している。絵を選ぶ視点が、人間性とその人生に置かれていていて、たいへん刺激的だ。いちいち頷きながら読む。ボーシャンを見た後グランマザーモーゼスを見たら普通の絵に見えたとか、小林古径日高川清姫が飛び込むときの手の解説など素晴らしい。様々な「受胎告知」の絵の解説も興味深い。無名のヒトの絵もいろいろあって、それぞれに目からウロコだ。自分には見えない、見たことも無い物を見せてくれるのが絵というものだし、人間はどんなふうに生きても良いんだということが、得心できる一冊です。