るきさんを読む人生は波乗りだ


るきさん

るきさん

本を探していて「るきさん」を見つける。奥付を見ると1993年。バブル当時に「hanako」に連載されていた。手に取って一気に再読した。ストーリーは、計算機を入れるのが上手なので、医療保険事務を内職としている、るきさんと、近所の友達でOLのえっちゃんとの日々。るきさんは、1ヶ月分の事務を10日で済ませて、マイペースでのんびり慎ましく生活している。一方のえっちゃんは、結構大きそうな会社に勤めていて、お洒落で買い物好きで消費生活にどっぷりはまっている。連載当時も、二人が他人じゃないような気がして読んでいたが、今読むとこの二人は人間の裏表、同じ人間だったんだと思う。地味なるきさんは、集めていた切手を売って、ナポリに住んでしまう。ナポリからの手紙と写真を、寝そべって見るえっちゃんで話しは終わる。蟻は蝶になり、キリギリスはひとり取り残される。ウッチャリの効いたエンディングで、えっちゃんと一緒に深くため息をついてしまう。どちらのキャラクターもごく身近にいた時代だった。バブルということもあって、そんな可能性が色々あった。あれからほぼ20年。二人はどうしているだろう?今は、るきさんの時代かしら。いや、えっちゃんがいなければるきさんも羽ばたけない。それに医療事務なんて今はパソコンで全部やれるだろう。あれからバブル崩壊があり、911があり、ITバブルがあり、リーマンショックがあったのだ。沢山の会社がその形態を変えた。今は自動車だってどこの国籍かわからない。この20年よく生きて来たもんだと思ってしまった。