朝刊小説

朝刊の小説は必ず読むのが習慣。お陰で知らなかった作家を知ることになって、ファンになることもある。月末で終わった高樹のぶ子
「甘苦上海」、(えーっとこーいう字だったかな?)恋愛小説でありました。主人公の紅子は、上海で2軒のエステサロンを経営している52歳。運転手つきのBMBを乗り回す華やかな生活を送っている。そこに39歳で中国の古文書を研究している京という男から借金を申し込まれる。対価は情事。遊びと思いながらも、様々な女性関係を持つ京に紅子は夢中になる。一方松本という駐在員とも関係を持ち、その情報から京は大阪で新聞記者をしていた時代に、特ダネを取るために近づいた中小企業の社長夫人と抜き差しならぬ関係となり、社長夫妻は心中したという過去を知る。紅子は別れを告げる決心で京と西湖に旅に出るが、京はシャングリラホテルのスイートルームに紅子を置き去りにして姿を消す。何度携帯に連絡しても出ない京のアドレスを削除して数ヶ月、紅子は喪失感にさいなまれるが忘れようとする。そこに一通の分厚い封書。京が付き合っていた周敏という女性の父親からで、娘が京の子を孕んでいる。娘は相手の日本人にも告げずにここで産むつもりだが、上海で唯一付き合いのあった日本人の貴女にはお伝えしたかった。と書かれていた。紅子はその手紙を京がよく行っていたピアノバーに預ける。数日して京から紅子にメールが。周敏のいるナントカという町にきている。そこは日本の高野山みたいな聖地でそこの古文書をデーター化しようと思う。というようなメール。紅子はその町に向かい周敏に会う。一緒に京に会いに行こう、という周敏は紅子にグッチのフローラの香水瓶を見せて、京が会う時にはこれをつけてきて欲しいと言ったと告げる。その香水瓶は京が姿を消したシャングリラの部屋から失われていたもので、フローラは紅子の体臭にもなっている香水だった。
紅子は周敏と京に会う。二人を食事に行かせて自分は疲れたからと告げて去る。一人になった紅子は眠れぬ身をベッドに横たえ、京がさりげなくどこに泊まっているかを聞いたのは何故だろうと思う。そこにチャイムの音、幻覚だろうか? で終わり。

ぜーぜー、これだけサマライズするのに19分かかったわ。さて、私が腑に落ちなかったのは、二人の間にはなんの障害もないのに何故こんなにこじれるの、ってことだ。ま、年の差はあるが二人とも独り者なのだ。話し合いが足りないんだわ。大人の恋愛とは思えなかった。男の性格も破滅型で実際には滅多に居ないタイプだわね。このあと縒りが戻っちゃったら、周敏は当然察知するから子供を置いて姿を消して、紅子は子供の面倒を見ると決意して京と別れて日本に帰る。くらいの結末にして欲しかったわ。でも他の本を読んでないからわからないけど、きっとこの小説家の本はこんな風に煮え切らない物語なんだろうなー。小説家が紡ぐ作風を知らないと、結末は予測出来ないな、ということが良く判ったのが収穫でした。