第六回 句会 2008.7.22

1.
半月の水瓜プールの子らを待つ 飛行船(あまり・柚)
茄子漬の紫冴えて口涼し 柚(あまり・わさび)
花笠の波に浴衣のすそ揺れる 柚(あまり)
遠雷や引越し済んで一人なり わさび(飛行船・鶉)
匿名の@マークの落とし文 いて丁(あまり)
才能がなくて明易かりしかな あまり(いて丁)
八回の日曜に着る上布かな 鶉(あまり)

2.
夏空や塩見仙丈烏帽子岳 鶉 (あまり)
長き日や夕餉の支度のろのろと わさび(柚・あまり)
青楓対角線を生かしきる 万作(鶉・飛行船・いて丁・あまり)
泡ひとつ時が止まれり 金魚鉢 柚(あまり)
百日紅父の墓前の煙草かな 飛行船(柚・あまり・万作・いて丁)
腹割いて 無念とおぼしき海鞘の色 いて丁(飛行船・あまり)

3.
猫の目に夏の扉の開かれん 飛行船(柚・鶉・あまり)
茅場町右肩上げて着る浴衣 わさび(あまり)
立葵目印ならず田舎道 万作(鶉・飛行船・あまり)
梅雨寒むの右手で掴む青蛙 いて丁(わさび・あまり)
夏祭り恋の踊り場通り過ぎ 鶉(あまり)
氷河期の匂いを芯に噴水よ あまり(わさび・いて丁)
根津、根岸、根付け帯にし夕涼み 柚(あまり・鶉・万作)
4.
鮎につく生姜のごとき舞妓はん 万作(あまり)
梅雨寒や昔ばなしのふたつみつ いて丁(万作・あまり)
でで虫の私語をつつしむごと殻に あまり(飛行船)
万緑に吾子の浴衣の金魚かな 飛行船(鶉・あまり)
悲しみを空に放して海紅豆 万作(わさび・いて丁・柚・あまり)
黄昏れて夏草の帯締めなおす わさび(いて丁・万作・あまり)
腰紐を咥えし猫に風止まる 鶉(あまり)

5.
幸福の手紙を配るみずすまし わさび(あまり、飛行船)
病葉を寄せて突き出す鯉の口 いて丁(あまり、万作)
いまここにこうしている夏の暮れゆく 飛行船(あまり)
指栞しては空みる夏休 あまり(わさび、鶉、万作、柚)
戸が開くやカサブランカの香り立つ 柚(あまり)
小名木川綿絽の女角曲がり 鶉(あまり、いて丁)

6.
夏至の日のでこぼこ道を乳母車 あまり(わさび・柚)
夕立に森の魔王の目は開く 飛行船(あまり)
甲虫にひかれてゆくや夏の闇 いて丁(あまり)
ビール干し新潟競馬だだ茶豆 鶉(あまり)
白浴衣衿のほつれ毛右近下駄 万作(あまり)

7.
立ち膝の浴衣の裾のぬの字かな いて丁(万作・鶉・飛行船)
夕焼けに消えし機体を見し夏か 鶉(いて丁・あまり)
失せ物を花火の夜に見つけたり わさび(あまり)
せわしさに言葉荒立つ金魚草 柚(あまり)
常の日のつねの薬や藍浴衣 あまり(わさび・柚・鶉)

おまけ 柚&鶉 Photo  写真を小さくしちゃってすみません。