第四回 句会 2008.5.13

1.
タンポポとヒポポタマスに天気雨 わさび(あまり・鶉・飛行船・いて丁)
日傘さすハナミズキの道昭和の日 鶉(あまり)
入院の知らせむなしき走り梅雨 鶉(あまり)
永遠は八十八夜の子守歌 わさび(あまり・鶉)
汗ばみし 八十八夜 草競馬 飛行船(あまり・鶉)
見上ぐればピンクのジーンズ春惜しむ いて丁(あまり)
もう単衣まだ袷よと夏が立ち まんさく(柚)

2.
土の道なきさびしさや傘雨の忌 あまり(いて丁・わさび・鶉)
落花 竜巻となりてバスを待つ わさび(あまり・鶉)
画家たちの春愁煙る上野山 わさび(あまり)
池の水にごりて梅雨の空がある 飛行船(あまり)
そろそろか夫店のぞく柏餅 柚(鶉)
不意打ちに胸ざわめかす沈丁花 まんさく(柚)
行く春や四肢沈みゆく心電図 いて丁(あまり)
野あざみの棘透明に我が老後 あまり(わさび)

3.
猫と出会う八十八夜かな あまり(飛行船)
蓮池は モネの真似してすましけり わさび(あまり)
葉の先を丸めて若葉立ち上がり 柚(あまり)
水注ぐコップにしずく薄暑かな 飛行船(あまり・いて丁)
白鰈身の厚みに初夏を知る まんさく(あまり)
山笑うひとつひとつの木のかたち 鶉(あまり・わさび・柚)
猫鳴いて八十八夜の雲はやし あまり(いて丁)
倦怠のアスパラガスを茹でこぼす いて丁(あまり・わさび・飛行船)

4.
胸起こし顎ひき歩く春袷 鶉(あまり)
桜隧道少年と犬疾走す わさび(飛行船・柚)
平凡もまたよしセルのうすみどり あまり(飛行船・柚・わさび)
極み入り吐く息細く藤の花 まんさく(わさび)
花盛り華やぐほどに愁い増し 柚(あまり)
鳴く猫に八十八夜の朝来たり 鶉(あまり)
新緑の新子寿司政九段下 飛行船(あまり)

5.
母の日にしまい湯つかう古希の母 鶉(あまり・柚)
晩春が猫の姿でそこにある 飛行船(いて丁)
筋通す蕗のようにはなれぬとも 柚(あまり・飛行船・いて丁・鶉)
住人の病知らずや白鉄線 まんさく(あまり)
代掻きの田を残したり造成地 鶉(あまり)

6.
以後一線 引こうと開く春日傘 わさび(あまり・鶉)
花よりも葉が美しき五月かな 飛行船(あまり)
永らえよと母八十八夜かな 柚(あまり)
つばめ飛ぶ軒の下にて目を合わせ 柚(あまり・いて丁)
ほほ染めて八十八夜世迷い言 まんさく(あまり・ゆず)
春泥や降りずに戻る渡し舟 いて丁(あまり・飛行船)