彫刻つづき

 むかーし、ナポリで紀元前に造られた雲突くように大きなアテナ像を見た時、あまりの素晴らしさに「あ〜〜彫刻家を志さなくて良かった」と心底思ったことがある。彫刻家になろうなんてこれっぽっちも考えたことがないのに、そう思うのもナンだけど。
芸術品ってどうして古いものがすばらしく見えるのだろう。良いものだけが残ったと言われても、それでも不思議な気がする。どんな人間でも時間だけは超越できない。その時間を呼吸し続けてきたものに対する憧れが結晶されるということか。
しかし、スゴイ美人を見て己を省みてしょげても仕方がない。
今生きて作品を作っている人はその環境の中で最善を尽くすしかない。みんな自分でしか表現できないものを探している。それは外にはなくて作り手の中にしか無いものだから、それを才能とか天才というわけだ。その探求中のものに身を寄せること、好きなものを共有することが、同時代の作家と交わる楽しみということなんですよ。
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キクラデスのようなカケイさんの彫刻