秋立ちぬ南仏日和の金谷かな


 
 内房南端に近い金谷美術館に行きました。一枚の繪でもお馴染みの田所雅子さんが、公募展の金谷美術館大賞を取られて、個展をされたのです。光風会に初入選した1998年の作品から100号が7点並びました。写真が初入選の作品です。16年前の作品ということになります。こんなこと言っちゃナンですが、私はこの最初の絵が一番好きです。少女から若い女性になりかかる不安が懐かしく思い起こされます。白と黒とバーントアンバー(だっけ?)3色で描いたそうですが、ほんのりと薄紫に包まれた画面がノスタルジックです。本人にもこれが良いって力説しちゃったんだけど、気分害したかも。思ったこと口に出す質なので許してね。田所さんは以降若い女性をモチーフに描き続けとても上手くなっています。しかし上手くなるということは難しいな〜と思います。上手くなるに従って初心がぼやけて来るのです。伝えたいこととテクニックのバランスをとるのは意外と難しい。上手くなれば何とかなる、というものではない。私は近年俳句をするようになって、それを身に沁みて感じます。ビギナーズラックというものは初期にまとまって来て、あとは努力です。しかし絵でも俳句でも他力の力添えが無いと、なかなか素晴らしいという境地に到達しない、とブディストの私は思います。
 
 さて、この金谷美術館、町おこしの一環だそうですが、小さいけど高い天井と吟味された照明、黒い窓の無い壁面でとても作品に集中出来ます。たいへん良い時間でした。正面には金谷港、左手には鋸山が聳え、近くに魚料理のレストラン、合掌作りのカフェもあり、エクスアンプロバンスのようでした。良い時間が過せました。
 鈴木館長ありがとうございました。



美術館の庭のネコ。その名もミュゼ(うそです。)

迫力満点のニャンコ。さわっても平気。
海眼前の、この環境は万猫の憧れであろう。