雲の峰読むぞ源氏を最後まで

- 作者: 瀬戸内寂聴
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/12
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- 作者: 阿刀田高
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 内館牧子
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/05/11
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今年になって何だか「源氏物語」が気になって読み返そうと思っていた。高校生の時谷崎で読み、20代で瀬戸内で読んだ。でも何を読んだか良く理解していない気がする。で、アプローチを変えて阿刀田、内館と読み、結局光源氏が没してからは話に生彩がないので読み切った感じがしないのだと思った。句友のH氏にその話をしたら、「あれはごく数人の人のために書かれたものだと思うんですよ。」と言う。目から鱗だ。そうよね、当時は印刷会社も出版社も無いんだもの。だけど多分紫式部はゴシップ渦巻く宮中で、文筆力も観察力も情報収集力も人一倍闌けていたのだ。そこで宮中「噂の真相」を書いたんだわ。すごいHさん。すごく納得出来ました。ゴシップだからスーパースターの源氏が亡くなったらつまらなくなるに決まっている。それでもこの話が千年も生き延びて国境まで越えたのは、色好みと言うことも含めて、人間に取って永遠の課題のマザーコンプレックスとイデプスコンプレックスについて考えないわけにいかないからかもしれない。あの時代に誰が本当の父親かというのは大問題だっただろう。今だって「そして父になる」という映画が賞を取っている。サマリーを読んだだけだが、病院で取り違えられた赤児とその父の話であるらしい。血は水より濃く、でもそれだけでは割り切れないものを含んでいるのが人間関係なのだ。さて、内舘の本を読んで、紫式部はきっと弘徽殿女御に仕えてたのじゃないかなと思った。だって正室なのに、ほとんど言及されていないのだもの。主の立場に添って、源氏の動向をつぶさに書く宮中レポーターなのよ、きっと。それで気が済んだので私としては源氏は卒業したことにしちゃうのだった。