それぞれに歳をかさねて昼の春

昔の会社の同期会。女性ばかり10人が集まった。30年以上会っていなかった人も、旧姓で呼び合って、顔の下に当時の制服を重ねているうちにすっかり二十歳代の気分になる。色んなことがあっただろうが、みんな前向きで素晴しい。押し花、パン、料理を教えている、ひきこもり育児解消のためのNPOカフェを始めた、中学校で英語の先生をしている、長い間ニューヨークでデザイナーをしている、子育てを終えてそれぞれの自慢とか、話は尽きなかった。会社はついこの間倒産して再建中。テレビを見ていて涙が出たね、そのニュースは見ないように避けていたのよね、と気持ちは同じ。次は泊まりがけでやろう、ということで、幹事をバトンタッチした。その彼女は緑に、オレンジ色と黄色が縦横に入った紬の着物に渋い朱色の帯。驚いたことに結婚前に作って、2、3日前にしつけを取って着て来たと言う。華やかな色が色白でテキパキした彼女に実に良く似合う。今や派手とかなんとか悩まなくていいんだなと、思う。今の60歳は昔と違う。着物は形が同じだから洋服のように決定的に似合わなくなることはない。好きなもの着ようと改めて思った。