青春時代

女子高生の登校路。95%の生徒が、髪を染めて裾はギザギザに伸ばしっぱなしのヘアスタイルだ。後ろから眺めていると角のないなまはげみたい。この年頃はみんなと同じが一番大事なのね。私もあの頃「シェルブールの雨傘」という映画が流行って、みんなドヌーブを真似て頭頂で髪の毛を結んだものだった。購買部にはサテン、ビロード、グログラン等のリボンが売られていて30センチとか40センチとか争うように買ったのだ。確か巾は2センチ以内色は黒紺茶に限られていたけど、どれを買うか悩んだなー。制服のスカートの長さ、ポケットの角度まで決められていて、衣替えの時先生が分度器を持って測るような中で、限られたお洒落の楽しみだった。中学高校時代はぜんぜん楽しくなかった。中学最初の英語の授業で「N」の斜めの線を右から左にロシア語のように書いて、先生にこれ書いたのTさんでしょ、とみんなの前で言われたのがトラウマとなった。女子校に向かなかったのだと思う。それでも夏になると軽井沢の寮に行ってすこーし羽を伸ばして、森英恵のブティックを見たりアイスクリームを食べたりした。幼なじみのドイツ人がベンツのスポーツカーで迎えに来てくれて万平ホテルでお喋りしたこともあった。そのまま駆け落ちでもしてドイツに行けば「本格小説」だったわ。なんちゃって、高校生を見て色々思い出した。「お嬢様」であるアドバンテージが失われつつある昭和40年前半。高度成長への時代の変わり目だった。そうそう、「N」の斜め線を右から書いたのは、ヨーロッパに留学したバカな皇帝が間違って書いたのが定着した、って最近何かで読んだ。あの字の形も味のあるモノよね。