万病が 身に染む初夏となりにけり

風邪をひいた。初めは空咳が止まらなくて、気味が悪いので病院に行ってレントゲン撮ってもらった。もらった薬を飲んだら、熱が8度ほど出て、風邪なんだと思うけど、いや〜辛かった。子供の頃は病気ばかりしていたが、大人になってから大病も中病もしていない。本当にありがたいことで、たまの風邪で、そのありがたさをしみじみ思う。それで会社休んで寝ていたのだけど、咳が出るので安眠は難しく、ついつい本に手が伸びる。

二十世紀〈上〉 (ちくま文庫)

二十世紀〈上〉 (ちくま文庫)

二十世紀〈下〉 (ちくま文庫)

二十世紀〈下〉 (ちくま文庫)

面白かった〜。彼の本は20冊くらい読んでると思うけど、これがもしかして一番じゃないかな、と思ったら、後書きに「〜人生で1冊だけ本を出すといったらこれかもしれない。」とあった。イギリスで起こった産業革命が、商品がいらなくなっても作り続けなくてはいけない、という商業モードを確立してしまった。その結果原料の確保と市場の占有のために、後進国といわれる国はどんどん植民地化されていった。綿製品を作ることは英国では出来ず、インドから輸入していたのだが、南インド諸島で綿のプランテーションを作りそれをイギリスで製品化し、今度はそれを植民地であったインドに輸出した。そのためには職人の腕を切り落としさえした。まー、人間のすることは凄まじいわね。このパターンが結局今のヘッジファンドというものにまで繋がっている。つまり既得権益の死守。地球にとっての一番の異物は人間、それも産業革命以後が悪いのだと、納得の一冊。こんなに素晴らしい本なのに、このカバーはいかがなものかい?