進化の行方

更新をさぼってるので、社報に載せた原稿を転載しちゃおう。ちょっと古いけど。読んだ方にはごめんなさい。


 関西を日帰りするので駅の本屋で平積みになってた「ウェブ進化論」という新書を買って電車に乗った。
イヤー、目に張り付いていることさえ知らなかった鱗が落ちました。ウェブつまりインターネットに毎日接していると、本当に世の中が変わってきているという事が実感されるのだが、この本はこのなんともいえない違和感をぱっちり言語化している。一番わかりやすいのは「こっちの人」と「あっちの人」という分類だ。パーソナルコンピューターの歴史はウィンドウズ(つまりコンピューターを自分で持つ)、ネットスケープ(インターネットです)、グーグルと進んできていてネットスケープまでは「こっち」の第一世代、グーグルからは「あっち」の第二世代とこの本ではされている。グーグルとはインターネット上の「検索エンジン」のことで、知りたい言葉を入力すればそれに関連したインターネット上の記事を瞬時に世界中から集めてくる。ちなみに「一枚の繪」と検索すると15800もの記事が出てくる。グーグルはシリコンバレーにある会社だが「世界政府というものがあるとして、それに必要な情報システムはすべてグーグルが作る」ということを目標にしているのだそうだ。つまり地球上で起きた事象はすべて整理して検索を可能にしてしまうのだ。その情報はすべて「あちら側」に蓄積され世の中の進む方向を推測する。私のような「こちら側」世代としては薄気味悪い限りだが、「あちら側」の人々は、そこに限りない可能性を見いだしている。このあちらがわの世界というのはいってみれば情報のデモクラシーとでもいうべきものの様で、皆が望む方向は正しい。というオプティミズムに裏打ちされているようである。私もはっきり理解できたわけではないが、この著者によればビルゲイツだって「こっちの人」なのでもう駄目なのだ。新しい世界を真に理解するのは。著者は1960年生まれだが、今まで年上の人と会っていた時間は減らして1970年以降に生まれた人と付き合うことにしたと徹底している。とにかく今までの歴史上には無かった事態なので「わからなくても丸ごと受け入れろ」というのですよ。いやはや大変な世の中になりつつある。今日明日にどうにかなるわけではないが、徐々に徐々に革命が起きつつあるのだなー、と思いました。唯一救いは言語化できないものの情報を分類することは難しいようで、絵のような情報はくくるのが難しいようです。でもそれだっていつまでのことかわかんない。未来は未知なのでジタバタしても始まらないが、これからどーなるのでしょうか。前に「一つの種が同じ情報を共有するとその種は滅びる」という説を読んだことがあって、それが真実みを帯びてきたようにも「こっちの人」としては思いました。
興味があれば読まれると良いと思います。著者梅田望夫 ちくま新書です。